AIマネーが次に向かう「電力・光通信」5銘柄

AI相場と聞いて、皆さんはどんな企業を思い浮かべるでしょうか。

NVIDIAをはじめとするAI半導体メーカー。

あるいは、東京エレクトロンやアドバンテストといった半導体製造装置・検査装置メーカー。

ここ数年、株式市場では「AI=半導体」という図式が定着してきました。

しかし、AI投資をもう一段深く見ていくと、次の投資テーマが見えてきます。

それが、

「電力」と「光通信」です。

AIを動かすには、GPUだけでは足りません。

大量のGPUを設置するデータセンター。

そこへ電気を届ける発電・送電・変電設備。

そして、膨大なデータを高速でやり取りする光ファイバー。

つまりAI市場が拡大すればするほど、

「計算する半導体」だけではなく、「電気を届ける企業」と「データを運ぶ企業」が必要になります。

ここに、これからのAI投資を考える重要なヒントがあります。

AIブームは「第2段階」に入り始めた

これまでのAI相場では、GPUや半導体製造装置など、AIの計算能力そのものに関係する企業へ資金が集中してきました。

しかし現在、世界中でAIデータセンター建設が進んだことで、新しい問題が浮上しています。

「電力が足りない」

という問題です。

国際エネルギー機関(IEA)は、世界のデータセンターの電力消費量が2030年には約945TWhまで増加すると予測しています。

これは現在の日本全体の年間電力消費量をやや上回る規模です。

しかも、2024年から2030年にかけてデータセンターの電力消費は年平均約15%増加すると予測されています。

その最大の要因の一つがAIです。

つまり、AI投資が拡大するほど、

半導体 → データセンター → 電力設備

という形で投資需要が連鎖していくことになります。

そして、もう一つ必要になるのが通信です。

数万個、場合によってはそれ以上のGPUを同時に動かすAIデータセンターでは、GPU同士が膨大な量のデータをやり取りします。

ここで重要になるのが、

光ファイバーや光コネクターなどの高速光通信技術です。

AIの性能競争は、半導体そのものの性能だけではなく、

「どれだけ大量のデータを高速かつ省電力で移動させられるか」

という競争へ広がっています。

AI投資の主戦場が「半導体単体」から「AIインフラ全体」へ拡大しているのです。

日本でも電力需要が再び増え始める

この流れは米国だけの話ではありません。

日本でも、これまで人口減少や省エネによって減少傾向だった電力需要が、大きな転換点を迎えています。

資源エネルギー庁も、AIの活用に伴うデータセンターや半導体工場の新増設などによって、今後、日本の電力需要が増加すると見込んでいます。

ここが重要です。

日本では長い間、

「人口が減るから電力需要も減る」

という考え方が一般的でした。

ところがAIによって、この前提そのものが変わり始めています。

家庭が使う電力ではなく、

AI・データセンター・半導体工場という巨大な産業需要が増える。

そうなると必要になるのは発電所だけではありません。

変電所。

変圧器。

送電線。

配電設備。

電力制御装置。

こうした設備すべてへの投資が必要になります。

AIは、デジタル産業であると同時に、

巨大な電力インフラ産業でもあるのです。

そして、もう一つのボトルネックが「光通信」

AIデータセンターの内部では、もう一つ大きな変化が起きています。

それが通信量の爆発的な増加です。

従来のデータセンターでは、サーバー同士を電気信号で接続する方法が中心でした。

しかしAIでは、大量のGPU間で巨大なデータを高速に移動させる必要があります。

通信量が増えるほど、

・通信速度

・消費電力

・発熱

・通信距離

という問題が大きくなります。

そこで重要性を増しているのが光通信です。

電気ではなく「光」でデータを運ぶ。

これによって高速・大容量・低消費電力の通信が可能になります。

今後、AIデータセンターが巨大化すればするほど、

光ファイバー、光コネクター、光部品の重要性は高まっていく可能性があります。

そして、この分野で強い技術を持つ企業が日本に存在しています。

注目① フジクラ【5803】

まず外せないのがフジクラです。

AIデータセンター関連株として、すでに株式市場で非常に高い注目を集めています。

同社が強みを持つのが、光ファイバーや光配線関連製品です。

AIデータセンターでは、膨大な数のサーバーやGPUを接続する必要があります。

データセンターの規模が大きくなるほど、

「高速で大量のデータを運ぶための光配線」

が必要になります。

そのためフジクラは、単なる電線会社ではなく、

AIデータセンターの通信インフラ企業

という評価へ変わってきました。

ただし、すでに市場から高く評価されている銘柄でもあります。

今後を見るうえでは、売上・利益の成長だけでなく、

現在の株価が将来の成長をどこまで織り込んでいるのか

を見る必要があります。

注目② 古河電気工業【5801】

次に注目したいのが古河電気工業です。

同社も光ファイバー・光通信関連技術を持つ、日本を代表する電線メーカーです。

AIデータセンターの拡大によって光通信需要が増えるのであれば、

「フジクラだけを見る」

という考え方では十分ではありません。

市場ではテーマ株が上昇すると、その後、

同じ産業構造の中で恩恵を受ける企業へ物色が広がる

ことがあります。

その意味で古河電工は、

AI × 光通信の物色拡大

を考えるうえで注目しておきたい企業です。

注目③ 三菱電機【6503】

ここからは電力側です。

三菱電機は、FAや防衛、鉄道など非常に幅広い事業を展開していますが、電力インフラも重要な事業領域です。

AIデータセンターが増えると、

単純に発電量を増やせばいいわけではありません。

作った電気を、

必要な場所へ、安全かつ安定的に届ける設備

が必要になります。

データセンターは24時間365日稼働するため、電力供給の安定性は極めて重要です。

今後AI投資を見る場合、

GPUメーカーだけではなく、

「AIに電気を届ける企業」

という視点を持つことが重要になります。

注目④ 富士電機【6504】

富士電機もAI時代の電力需要拡大を考えるうえで注目したい企業です。

同社はパワー半導体だけでなく、電力変換設備や受配電設備など幅広い電力関連技術を持っています。

AIデータセンターでは、大量の電力をそのままサーバーへ流すわけではありません。

電圧を変え、電力を制御し、安定した状態でIT機器へ届ける必要があります。

つまり、

「電気を作る」だけでなく「電気を制御する」

企業にも投資需要が発生します。

AIの普及によって世界的な電力需要が増加すれば、

こうした電力制御技術の価値も高まる可能性があります。

注目⑤ 日立製作所【6501】

5社目は日立製作所です。

日立は現在、デジタル企業としての側面が注目されていますが、同時に電力・送配電インフラにも深く関わっています。

AI時代では、

データセンターだけを建設しても意味がありません。

発電。

送電。

変電。

蓄電。

電力制御。

そしてデジタルによる電力網の最適化。

これらを組み合わせた巨大なインフラ投資が必要になります。

そのため、

AI投資=IT企業だけの話

ではなくなっていく可能性があります。

むしろAIが社会インフラになればなるほど、

電力・通信・重電といった、これまで「オールドエコノミー」と考えられてきた企業がAI成長の恩恵を受ける可能性があります。

5銘柄を整理すると

今回注目した5社は、

光通信

* フジクラ【5803】

* 古河電気工業【5801】

電力インフラ

* 三菱電機【6503】

* 富士電機【6504】

* 日立製作所【6501】

です。

ポイントは、

「どの企業が一番上がるか」

を予想することではありません。

見るべきなのは、

AI投資によって、どの産業に新しい需要が発生するのか

という資金の流れです。

AI相場を見る視点を一段変える

AI市場を見るとき、多くの投資家はどうしても半導体株の値動きを追いかけます。

しかし、投資テーマというものは時間とともに広がっていきます。

AI半導体が増える。

↓

データセンターが増える。

↓

電力消費が増える。

↓

発電・送電・変電設備が必要になる。

↓

GPU間の通信量が増える。

↓

光通信設備が必要になる。

この連鎖を理解すると、

AIという一つの巨大テーマから、

複数の投資テーマが派生していることが分かります。

そして市場では、最も分かりやすい銘柄が最初に買われ、その後に周辺企業へ資金が広がるケースが少なくありません。

だからこそ、

「今上がっている企業」だけではなく、「次に需要が発生する場所」を考えること

が重要になります。

半導体の次ではなく「半導体の先」を見る

今回のテーマで最も伝えたいことは、

「半導体株は終わった」

ということではありません。

むしろ逆です。

AI半導体市場が成長し続けるからこそ、

その周辺に巨大なインフラ需要が生まれる。

その代表が、

電力と光通信です。

IEAは2030年まで世界のデータセンター電力消費が大幅に増加すると予測しています。

日本でもAI・データセンター・半導体工場による電力需要増加が見込まれています。

AI競争が続く限り、

「より高性能な半導体を作る競争」

だけではなく、

「その半導体をどう動かし、どう接続するか」

という競争も続いていきます。

だからこそ、これからAI関連株を見るときは、

半導体 → データセンター → 電力 → 光通信

まで視野を広げてみる。

AI相場の次の主役は、意外にも昔から日本が得意としてきた、

電線・光ファイバー・変電・電力制御

という分野から生まれるかもしれません。

半導体だけを見ていると、その変化を見落としてしまう可能性があります。

次のAI投資を考えるうえで、

「AIを作る企業」から「AIを動かす企業」へ。

この視点は、今後の日本株を見る重要なキーワードになりそうです。

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