投資信託と聞いて、まず思い浮かぶのは「オルカン」や「S&P500」ではないでしょうか。

実際、この2つが日本の資産形成の中心にいることは間違いありません。

低コストで、分散が効いていて、長期投資にも向いている。

だからこそ、王道として支持され続けています。

しかし、投資の世界で本当に面白いのは、誰もが知っている商品そのものではありません。

その裏側で、

「どこに新しい資金が向かい始めているのか」

を見ることです。

2026年の投信市場を見ると、オルカンやS&P500の外側で、少しずつ新しいテーマが育っています。

半導体。

日本株の構造改革。

巨大テックへの集中を避けた米国株。

株式と金を組み合わせる新しい分散。

そして、配当・キャッシュフローを重視する運用です。

今回は、そうした資金の変化から見えてくる「まだ一般化していない5本」を取り上げます。

第5位

インベスコ S&P500イコール・ウェイト・ファンド

― 「S&P500なのに、S&P500ではない」

非常に面白いのがこのファンドです。

通常のS&P500は、企業の時価総額が大きいほど指数への影響も大きくなります。

そのため現在は、大型テクノロジー企業の値動きがS&P500全体を大きく左右します。

一方、このファンドが連動を目指す「S&P500イコール・ウェイト指数」は、約500社をほぼ均等な比率で保有します。

つまり、

Appleも、Microsoftも、S&P500の中の中堅企業も、基本的には同じ重さで持つ。

という発想です。

インベスコによれば、通常のS&P500では上位銘柄への集中度が歴史的にも高い水準にあります。対してイコール・ウェイト型は、四半期ごとに比率を均等化します。

ここに今、投資家が考えるべき一つの論点があります。

それは、

「米国株を持ちたい」と「巨大テックに集中したい」は、本当に同じなのか?

ということです。

AI相場が続けば時価総額加重型が強い可能性があります。

しかし、相場の主役が大型テックから金融、資本財、ヘルスケア、一般消費財へ広がるなら、イコール・ウェイト型が見直される可能性があります。

これは、

S&P500を捨てる投資ではなく、S&P500の“中身”を変える投資

です。

王道のすぐ隣にある、意外と知られていない選択肢です。

第4位

SBI日本高配当株式ファンド

― 日本株は「値上がり益」から「株主還元」へ

日本株でも、大きな変化が起きています。

以前まで日本株の魅力と言えば、

円安

景気回復

外国人投資家の買い

といった材料が中心でした。

しかし今は、それだけではありません。

企業側が、

配当を増やす

自社株買いを行う

政策保有株を減らす

資本効率を改善する

という流れが強まっています。

その恩恵を直接狙うのが、高配当株ファンドです。

SBIアセットマネジメントの日本高配当株式ファンドは、年4回決算型と年1回決算型を合わせ、2026年4月時点ですでに純資産総額2,000億円を突破しました。設定から2年強でここまで資金を集めています。

これは単なる「高配当ブーム」と見るより、

日本企業の株主還元そのものが投資テーマになり始めている

と考えた方がいいでしょう。

特に50代、60代の投資家にとっては重要です。

若いうちは資産を増やすことが優先されます。

しかし、資産がある程度積み上がってくると、

「いくら増えるか」

だけではなく、

「資産から年間いくらのキャッシュフローを作れるか」

が重要になります。

オルカンが資産形成の道具なら、高配当ファンドは、

資産を収入に変えていく道具

として見ることもできます。

第3位

楽天・プラス・SOXインデックス・ファンド

― AIを買うのではなく、「AIの裏側」を買う

AI投資と聞くと、多くの投資家はNVIDIAやNASDAQ100を思い浮かべます。

しかし、一歩深く見るとAIブームには巨大な設備投資が必要です。

GPUだけではありません。

半導体製造装置。

メモリー。

設計ソフト。

ファウンドリー。

電源管理。

通信半導体。

データセンター。

こうした企業がなければAIそのものが成立しません。

楽天・プラス・SOXインデックス・ファンドは、米国の主要半導体関連企業を対象にするSOX指数への連動を狙う商品です。

2026年9月4日時点で純資産額は約524億円。前年比では235%超増加しており、まだオルカンなどとは比較にならない規模ながら、かなり速いペースで資金が増えています。

ここが面白い。

投資家の興味が、

「AI企業を買う」

から、

「AIに必ず必要になるインフラを買う」

へ広がっているからです。

ゴールドラッシュで最も安定して儲かったのは、金を掘った人ではなくツルハシを売った人だった。

よく使われる例えですが、半導体はまさに現代版のツルハシです。

ただし注意点もあります。

半導体株は景気循環が激しく、設備投資の減速局面では下落も大きくなります。

オルカンの代わりではなく、

ポートフォリオの成長部分を尖らせる商品

として見るべきでしょう。

第2位

Tracers S&P500ゴールドプラス

― 株と金を「100+100」で持つ

今回の5本の中でも、仕組みとして特に面白いのがこれです。

通常、100万円を運用するなら、

S&P500 50万円

金 50万円

のように資金を分けます。

ところが「Tracers S&P500ゴールドプラス」は、先物を活用し、

S&P500に100%相当

+

金に100%相当

合計200%相当の投資を行います。

つまり、

「株か金か」

ではなく、

「株も金も持つ」

という設計です。

ここ数年、金が注目される背景には、

インフレ

財政赤字

地政学リスク

中央銀行による金購入

通貨価値への不安

があります。

一方で、株式の長期成長も捨てたくない。

この二つを同時に取りにいく商品です。

ただし、誤解してはいけません。

これは「守りの商品」ではありません。

200%相当のエクスポージャーを持つため、普通のバランス型投信より値動きは大きくなる可能性があります。

それでも、この商品が興味深い理由は、

これまでの分散投資の常識そのものが変わり始めている

ことです。

従来は、

株を減らして金を増やす。

あるいは、

金を減らして株を増やす。

という発想でした。

しかし今は、

資産同士の組み合わせ方そのものを金融商品側で設計する

時代になっています。

第1位

野村構造変化日本株ファンド

― いま一番見るべきは「日本株の構造変化」

今回、最も注目したいのはこれです。

野村構造変化日本株ファンドは、2026年7月に設定された比較的新しい商品です。

コンセプトは非常に明確です。

日本を取り巻く中長期的な構造変化から恩恵を受ける企業へ投資する。 

ここでいう構造変化とは、単なる景気回復ではありません。

例えば、

人手不足

省人化

防衛力強化

エネルギー安全保障

AI・データセンター投資

国内製造業回帰

インフラ更新

企業統治改革

です。

これはかなり重要な違いです。

景気は上がったり下がったりします。

しかし、

人口減少

安全保障

電力不足

デジタル化

といった問題は、数年では終わりません。

企業や政府が長期間、お金を使い続けなければならない。

つまり、

「景気循環」ではなく「支出せざるを得ない構造」

を買う投資です。

私はここが2026年以降の日本株を見るうえで重要だと考えています。

これまで日本株は、

「割安だから買われる」

という説明が多かった。

しかし今後は、

「日本でこれから何に数兆円、数十兆円のお金が使われるのか」

を見た方が、投資テーマを理解しやすくなります。

野村構造変化日本株ファンドは、その考え方を商品化したような投信です。

なぜ、今あえて「マイナー投信」を見るのか

ここまで5本紹介しました。

しかし、重要なのは、

「この5本を全部買いましょう」

という話ではありません。

むしろ逆です。

投資信託を見る目的は、

市場の中で何がテーマになり始めているのかを知ること

にあります。

今回の5本を並べると、資金の向かう方向がよく分かります。

S&P500イコール・ウェイト

→ 巨大テック集中からの分散

日本高配当

→ 株主還元・キャッシュフロー

SOX

→ AIインフラ

S&P500+金

→ 新しい分散投資

構造変化日本株

→ 日本の長期テーマ

つまり、

オルカンやS&P500そのものが終わったわけではありません。

その周囲に、

「次の選択肢」が増え始めている。

ということです。

オルカンの裏側を見る

オルカンは非常に優れた商品です。

だからこそ、長期資産形成の中心として持ち続けることには十分な合理性があります。

ただ、投資家として一段深く市場を見るのであれば、

「オルカンの中で、何がこれから伸びるのか」

まで考えてみる価値があります。

世界株式の中には、

半導体もある。

日本株もある。

高配当株もある。

米国中堅企業もある。

資源株もある。

オルカンはそれらを全部持っています。

しかし全部を持つということは、

当然ながら、

これから大きく伸びるテーマも薄くしか持てない

ということでもあります。

ここにサテライト投資の意味があります。

Vertas Academyの視点

投資で差がつくのは、

ニュースになった後に買うことではありません。

ランキング1位になった後でもありません。

重要なのは、

「なぜ、この商品が今作られているのか」

を見ることです。

運用会社は、何も考えずに新しいファンドを作っているわけではありません。

そこには、

今後資金需要が生まれる市場

投資家が抱えている不満

既存商品では満たせないニーズ

があります。

新しい投資信託を見ることは、

ある意味、

運用業界が考えている“次の市場”を見ること

でもあります。

最後に

今も投信市場の王道は、

オルカンとS&P500です。

しかし、その裏では確実に別の動きが始まっています。

巨大テックへの集中を避ける投資。

AIを支える半導体への投資。

日本企業の株主還元への投資。

株と金を組み合わせる投資。

日本の構造変化そのものへの投資。

今日紹介した5本が将来必ず上がる、という話ではありません。

重要なのは、

資金がどこへ向かい始めているのかを、人より少し早く知ること。

投資テーマは、

大衆化してからでは遅いことがあります。

だからこそ、オルカンのランキングを見るだけではなく、その裏側を見る。

そこに、

次の投資機会を見つけるヒントがあります。

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