「病院建替え」の先まで稼げる会社なのか

日本ではいま、老朽化した病院や医療設備の更新が大きなテーマになっています。

そこで注目したいのが、**シップヘルスケアHD〈3360〉**です。

ただ、この会社を「病院建替え関連株」とだけ見ると、本当の面白さを見落とします。

なぜならシップヘルスケアは、

病院をつくる時だけではなく、その病院が動き続ける間にも収益機会を持つ会社だからです。

今回は、この会社の強さとリスクを10分以内で整理します。

建替えられなくても、設備更新は止められない

まず押さえたいのが、病院側の事情です。

病院が古くなったからといって、簡単に建て替えられるわけではありません。

建設費、人件費、電気代、医療材料費など、さまざまなコストが上昇しています。

「建て替えたい。でも予算がない」

という病院も出てきます。

一見すると、これは病院建替え関連企業にとって逆風です。

ところが、ここにシップヘルスケアを見るポイントがあります。

全面建替えを延期しても、

CTやMRI、手術室、ICU、ITシステムなどは古くなっていきます。

つまり、

「建替えを延期すること」と「設備投資をしないこと」は別です。

全面建替えが難しければ、

部分改修。

医療機器更新。

院内物流の改善。

医療DX。

こうした投資に変わる可能性があります。

シップヘルスケアは、その複数の需要に関われる会社です。

シップヘルスケアは何をしているのか

この会社を「医療機器商社」と考えると少し違います。

病院の新築・移転・リニューアルから、医療機器、設備、システム、医療材料、院内物流まで幅広く手掛けています。

つまり、

病院という巨大なインフラの中に深く入り込む会社

と考えると分かりやすいでしょう。

その中でも重要なのが、

TPPとMSP

という2つの事業です。

「大きく稼ぐTPP」と「長く稼ぐMSP」

TPPは、病院の新築、移転、増改築などの大型プロジェクトを総合的に支援する事業です。

病院建替えが増えれば、大型案件を獲得できる可能性があります。

一方で大型案件には弱点があります。

完成すれば、案件はいったん終了することです。

そこで重要になるのがMSPです。

MSPでは、病院で日々使用される診療材料や医療機器を供給します。

さらにSPDと呼ばれる仕組みを通じて、院内の在庫や物流管理にも関わります。

つまり、

TPPは病院が大きく変わる時に稼ぐ。

MSPは病院が毎日動くことで稼ぐ。

この2つを持っていることが、シップヘルスケアの大きな特徴です。

1つの病院から、何度もビジネスが生まれる

ここが今回、一番注目したいポイントです。

例えば、シップヘルスケアが病院の建替えに関わったとします。

医療機器を導入する。

設備を整える。

そして病院が完成する。

普通なら大型案件はここで終了です。

しかし、その後も病院では毎日診療が行われます。

医療材料が必要になる。

在庫管理が必要になる。

物流も必要になる。

さらに数年経てば、医療機器の更新が始まります。

その先には部分改修や再整備もあります。

つまり、

建設 → 稼働 → 更新 → 改修 → 再整備

という循環が生まれる。

シップヘルスケアは、この複数の段階に入り込める可能性があります。

だから投資家として見るべきなのは、

「今年、病院が何棟建つのか」

だけではありません。

1つの病院との取引を、どこまで長く、深くできるのか。

こちらの方が重要です。

強みは「全部をつなぐ力」

病院の新築や改修には、多くの企業が関わります。

建設会社、設備会社、医療機器メーカー、IT企業、物流会社。

さらに病院側にも、経営陣、医師、看護師、購買担当など、多くの関係者がいます。

そこで価値を持つのが、

複数の専門領域をまとめる能力です。

シップヘルスケアは、医療関連メーカーなどもグループに持っています。

そのため単純に医療機器を販売するだけではなく、病院全体を見ながら提案できる。

商品そのものは他社でも売れます。

しかし、

大型病院のプロジェクトをまとめる経験や顧客との関係は、簡単にはつくれません。

ここが数字だけでは見えにくい競争力です。

ただし「需要がある=利益が増える」ではない

ここまで見ると、かなり魅力的に感じます。

ただし注意も必要です。

病院の設備が古い。

更新する必要がある。

だからシップヘルスケアの利益が増える。

この考え方は少し危険です。

なぜなら、

必要性と予算は別だからです。

病院側の経営が厳しければ、建替えや医療機器更新は延期されます。

大型案件でも建設費や人件費、仕入価格が上昇すれば採算が悪化する可能性があります。

つまりこの銘柄は、

「病院建替えラッシュ」というテーマだけで判断してはいけない。

実際に案件が利益へ変わっているかを見る必要があります。

決算で見るべきポイントは5つ

シップヘルスケアの決算を見るなら、売上高だけを見るのでは不十分です。

注目したいのは次の5つです。

① 大型案件の進捗

受注した案件が予定通り進み、利益につながっているか。

② 医療機器の更新需要

病院が実際に設備投資へ動いているか。

③ MSP・SPDの成長

単発案件だけでなく、継続的な収益基盤が広がっているか。

④ 利益率

売上が伸びても利益が伸びていなければ、コスト増や案件採算を確認する必要があります。

⑤ グループ再編

M&Aで増やした企業を整理・統合し、グループ全体の収益性を高められているか。

この5つを見るだけでも、企業の状態はかなり分かりやすくなります。

最後に

シップヘルスケアHDを、

「病院建替え関連株」

という一言で終わらせるのは少し早いでしょう。

この会社が狙える市場は、病院を建てる瞬間だけではありません。

病院をつくる。

設備を入れる。

病院が動き始める。

医療材料を供給する。

物流を支える。

医療機器を更新する。

そして、また改修する。

この循環に何度も入り込めることが、シップヘルスケアの面白さです。

だから、この銘柄を見る時の問いはシンプルです。

「病院の建替えが増えるか?」ではありません。

「日本の医療インフラ更新に使われるお金を、この会社がどこまで長く取り込めるのか?」

ここです。

もし大型案件だけでなく、設備更新やSPDなどの継続事業まで成長し、さらに利益率が改善してくるなら、評価すべきポイントは「建替え特需」だけではなくなります。

反対に、病院側の資金不足で投資が延期され、大型案件の採算まで悪化するなら注意が必要です。

シップヘルスケアHD〈3360〉。

短期的な建替えテーマと、中長期の医療インフラ更新。

この2つが本当に業績へつながってくるのか。

次の決算では、売上高だけでなく、大型案件・更新需要・継続収益・利益率までセットで追っておきたい企業です。

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